整形外科

特色

北海道大学の関連病院として

当科は北海道大学医学部整形外科の関連基幹病院として空知地区の整形外科の中核を担い、また、日本を代表する諸先生が多くの実績を築き上げて参りました.昭和30年に初代院長 故若松不二夫先生のもと開院し,松野誠夫先生(北海道大学医学部整形外科名誉教授)の二代目院長就任により北海道を代表する高度医療施設へと発展しました.また,金田清志先生(同名誉教授)の四代目院長就任により脊椎センターとして飛躍的な進歩を遂げました。

脊椎センターとして

金田清志先生(北海道大学医学部整形外科名誉教授)、野原 裕先生(獨協医大教授)、小熊忠教先生(札幌整形外科理事長)、種市 洋先生(獨協医大准教授)など脊椎・脊髄疾患における重鎮が多数在籍してきたこともあって、国内有数の脊椎センターの一つとなっています。治療成果は国内学会のみならず国際学会にて発表し、常に国際水準凌駕できるよう努力しております。また、当施設は日本国内に約60施設しかない日本脊椎脊髄病学会クリニカルフェロー認定施設、および日本脊椎脊髄病学会アドバンス・コース認定施設(指導医:須田)の資格を獲得し、脊椎外傷のみならず脊椎疾患全般(頚椎、胸椎、腰椎、仙椎)に対する専門医療を行っております。当センターの手術を見学するために国内外から多くの脊椎外科医が訪れました。平成17年から3年間の間に約60名(海外23名を含む)に及びます。

北海道唯一の脊損センター

平成10年に「勤労者腰痛・脊損センター」が開設され,急性期から慢性期に至るまで、すなわち救急・手術からリハビリテーション・社会復帰に至るまでの包括的で高度な脊損センターとして生まれ変わりました。また、平成28年10月からは「北海道せき損センター」と名称が変わり、脊損医療をコアにした病院を目指しています。同様な形態で運営される大規模専門脊損センターは当院と九州にある総合せき損センターの二施設だけです。しかし、脊椎以外の一般整形外科もこれまで同様に診療・治療・手術をおこなっており、整形外科全般を網羅しています。

診療内容

脊椎に関して

頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症・後縦靱帯骨化症・慢性関節リウマチによる脊椎症・腰部脊柱管狭窄症・変性すべり症・分離すべり症・椎間板ヘルニア・変性側弯症・脊椎外傷・骨粗鬆症に伴う病変(圧迫骨折や椎体圧潰など)多岐にわたって専門的に治療しています。脊椎外科医が3名(須田、楫野、森平)在籍しており、年間320~400例の脊椎手術を行なっております。頚椎椎弓根スクリューを用いた再建術や腰椎疾患に対する再建術(PLIFやTLIF)のように大きな手術から低侵襲手術(METRx-MDやmini-openTLIF)まで症例に応じて臨機応変な手術のアレンジをしています。日本では認可されていませんが、上記3名(須田・楫野・森平)はKypon(低侵襲経皮的椎体形成術)の免許を取得しています。また、当院は北海道で唯一の脊損センターになっており脊椎外傷手術の割合が高く、北海道で最も多くの脊椎・脊髄損傷を手術しています。

四肢に関して

変形性膝関節症・変形性股関節症・肩関節障害(腱板断裂)・スポーツ障害・外傷・骨折・末梢神経障害・慢性リウマチによる関節症などを診療しています。人工関節・靭帯再建・骨折手術・神経剥離・神経移行・関節形成などの手術を行なっています。過去5年間で1489例の手術を行なっています。現在は東條が専属で担当しており。年間200~350件の手術を熟しています。

脊椎手術の試み

小侵襲・低侵襲手術の試み~その1:腰椎椎間板ヘルニアに対するMD(顕微鏡下ヘルニア摘出)とMED(内視鏡下ヘルニア摘出)
ヘルニアに対する低侵襲手術としては①レーザー治療、②経皮的髄核摘出、③MED(内視鏡下ヘルニア摘出)、④MD(顕微鏡下ヘルニア摘出)などがあります。①と②は症例によって限界があること、治療成績が不安定であることより当院では行なっておりません。③と④はどちらも同じ器具(METRx)を使用しています。筒状の器具の中に細いレンズを入れてモニター画面に映しながら手術するか、器具の上から手術用顕微鏡で覗いて手術するかの違いです。当院にはMED、MDどちらの器具もありますが、今ではMDがほとんどです。個人的には顕微鏡の方がよく見えて安全と感じています。アメリカでもMED、MDどちらも流行りましたが、現在では殆どがMD(顕微鏡)です。筒状の器具が使えないときは小皮切用開創器(Casper開創器)を用いてなるべく小さな侵襲で手術する努力をしています。従来の手術に比べて手術直後の傷の痛みが少なくなりました。

小侵襲・低侵襲手術の試み~その2:腰椎に対するmini-open TLIF,mini-open PLIF
従来の固定術に比較して小さな傷で手術する方法の一つです。mini-open TLIFは前整形外科部長の種市が考案し、多くの施設で追試されています。最近では視野改善の目的でmini-open PLIFにアレンジして多用していますが、mini-open TLIF同様に良い成績を得ています。

脊椎インストゥルメンテーションを用いた再建術
頚椎から仙椎にいたるまで多くの脊椎再建術を行なっています、変形や骨粗鬆症が著明な場合には手術に限界がありますが、非常に高い確立で手術を成功に導いています。難易度が高い手術ほど合併症が生じ、これを完全に回避することは不可能ですが、迅速・的確な処置や再手術をすることが最も肝心です。また、インストゥルメンテーション手術を的確に行なう技術も重要で、そのためには手術時間が多少冗長であっても丁寧・安全に徹した手術をすることが鉄則と考えています。

実績

野原 裕(獨協医大教授)が1984年に美唄労災で本格的な脊椎外科を立ち上げて以来、約6000例の脊椎・脊髄手術が行なわれています。その後、小熊・畑山が継承し、年間平均250~300件まで症例数が増加しました。両氏の退任の影響で平成13年は減少しましたが、金田・種市体制が整い400件超まで急増しています。平成18年度から平成19年度にかけて脊椎外科医が7名から4名に減じ、須田・楫野体制が始まりましたが、手術数は半減することはなく300件を超えています。昨年に比べて減ったとはいえ小熊・畑山の全盛期を凌ぐ手術件数を熟しております。(図は脊椎手術件数の推移)

 

術者別 脊椎手術件数(2003.1~2007.12)

研究活動について

国内学会395題,国際学会60題,論文83編 (過去10年間)

治療の是非を世に問うため,新たな治療法を世に広めるため,研究活動を続けています.過去10年間に国内学会:395演題(うち20演題がシンポジウムあるいは主題に選ばれています),国際学会:60演題,合計455演題の学会報告を行ないってまいりました.また,過去10年間に83論文が作成されています.一般病院としては群を抜く数字であると自負しております.

主な研究報告内容

  • 腰椎椎間板ヘルニアの再発の危険因子(須田/ISSLS,NASS)
  • 腰椎椎間板ヘルニアの再発・腰椎遺残の危険因子(須田/日本脊椎脊髄病学会シンポジウム)
  • 腰椎椎間板ヘルニアに対する固定術の要否・機能温存の可否(須田/腰痛シンポジウム)
  • 腰椎椎間板ヘルニアに対する低侵襲手術(MD法)(須田/日本脊椎脊髄病学会シンポジウム)
  • 脊柱管狭窄症に対する除圧術の限界(久木田/AOS)
  • 変性すべり症に対するPLFの長期成績(須田・金田/ISSLS)
  • 変性すべり症に対する前方支柱・椎体間固定の要否(須田/日本整形外科学会)
  • 分離すべり症に対する椎体間固定の要否(須田/ISSLS,SRS,AOS)
  • 変性側弯の再建術(種市・金田/SRS)
  • 多椎間固定における腰仙椎間温存の限界(須田/ISSLS)
  • 上位隣接椎間障害と腰仙椎固定・上位隣接椎間傾きとの関係(須田/ ISSLS,日本脊椎脊髄病学会シンポジウム)
  • 職業と腰痛の関係(須田/日本整形外科学会)
  • 低侵襲腰椎固定術(mini-open TLIF・PLIF)(種市・森平/日本脊椎脊髄病学会シンポジウム)
  • 頚椎症性脊髄症に対する椎弓形成術の限界―後弯との関係(須田・北大として/CSRS)
  • 頚椎後弯に対する再建術(楫野)
  • 軽微な外傷により生じる脊損の危険因子(須田/CSRS,NASS)
  • 頚椎脱臼骨折の治療法(種市・須田/学会・セミナーなど)
  • 頚椎脱臼骨折に対するPedicle screwを用いた再建(種市・須田/学会・セミナーなど)
  • Pedicle screw刺入の工夫(種市・須田/学会・セミナーなど)
  • 頚椎椎弓根の解剖学的形態(楫野/CSRS,NASS)
  • 頚椎外傷と椎骨動脈閉塞の関係(種市/CSRS,NASS)
  • 脳底動脈系の評価(種市・須田・森平/多くの学会にて)
  • 椎骨動脈とWillis動脈輪から考える頚椎再建の治療戦略(須田/NASS)
  • 片側Pedicle screw法(須田/CSRS)
  • 頚椎脱臼骨折と予後(森平/CSRS)
  • 頚損における気管切開要否の因子(松村)
  • 脊損に対するステロイド大量療法の是非(角家・海老原・飯本/日本脊椎脊髄病学会シンポジウム)
  • 術後感染の早期発見法(久木田・種市/日本整形外科学会,日本脊椎脊髄病学会)
  • 術後感染の制圧法(種市/日本脊椎脊髄病学会)
  • 術後感染予防における超短期抗菌剤予防投与(忽那・種市/日本脊椎脊髄病学会)
  • 超短期抗菌剤予防投与の限界(飯本/日本脊椎脊髄病学会シンポジウム)
  • 骨粗鬆症性椎体圧潰の再建(金田・楫野/日本整形外科学会)
  • 脊損医療における医療経済学的問題(須田・楫野/日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会)

上記以外にも多数の報告を行なっています。

当院は北海道せき損センターとして新たな出発を迎えました。先輩機関である総合せき損センターに学び、我々独自の知恵と改良を織り込みながら絶えず進歩し続ける覚悟です。また、北海道大学整形外科とは開院以来50年以上に及び常に深い関わってまいりました。長きにわたり北大の諸先輩が築き上げてきた大切な伝統・業績・技術・信頼を守りつつ、皆さまにとって大切な病院と思っていただけるように、最新・最良の医療を目指して努力しつづけます。

医師

副院長 / 整形外科部長  / 腰痛・脊損センター長

須田 浩太

脊椎外科
北海道大学(平成3年卒)、北海道大学大学院卒
日本整形外科学会専門医・脊椎脊髄外科指導医・日本脊椎脊髄病学会クリニカルフェロー指導医・日本脊椎脊髄病学会アドバンスコース指導医
日本整形外科学会・日本職業災害医学会・日本脊椎脊髄病学会・日本インストゥルメンテーション学会・日本脊髄障害医学会・北海道整形災害医学会・北海道脊椎疾患研究会・東日本整形災害医学会・日本リハビリテーション学会・西日本脊椎外科学会・北海道骨粗鬆症研究会
手術件数(過去5年) 脊椎515件
国内学会発表 140 / 国際学会発表 23 / 論文 23

第2部長

松本 聡子

整形外科一般
旭川医科大学(平成8年卒)、北海道大学大学院卒
日本整形外科学会専門医・日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医・日本整形外科学会認定リウマチ医・日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会・日本インストゥルメンテーション学会・日本脊髄障害医学会・北海道整形災害医学会・日本リハビリテーション学会・日本骨粗鬆症学会・日本小児整形外科学会・日本リウマチ学会・日本骨・関節感染症学会
手術件数(過去5年) 四肢・関節300件
国内学会発表 18 / 国際学会発表 2 / 論文 2

第3部長

東條 泰明

四肢・関節
産業医科大学(平成10年卒)
日本整形外科学会専門医・日本整形外科学会認定リウマチ医・日本医師会認定産業医
日本整形外科学会・日本職業災害医学会・北海道整形災害医学会・日本骨折治療学会
手術件数(過去5年) 四肢・関節500件
国内学会発表 10 / 論文 2

第4部長

小松 幹

脊椎外科
北海道大学(平成16年卒)
日本整形外科学会・日本骨代謝学会・日本脊髄障害医学会

副部長

尾崎 正大

脊椎外科
慶應義塾大学(平成19年卒)、慶應義塾大学大学院(平成29年卒)
日本整形外科学会専門医・日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医・日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会・日本脊髄障害医学会・日本側弯症学会

副部長

久田 雄一郎

整形外科(脊椎・脊髄)
自治医科大学
日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会・日本脊髄障害医学会・日本小児整形外科学会

医師

原谷 健太郎

整形外科一般
昭和大学
日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会・骨折治療学会

医師

郷野 開史

整形外科一般
産業医科大学