循環器内科

特色

美唄地域においては、人口の高齢化および生活習慣の変化による循環器疾患の増加がみられます。当科の医師は30年間に渡る循環器疾患の臨床経験とその治療に実績があります。循環器予防セミナー(日本循環器管理研究協議会)に参加し疫学的手法について研鑽し、北海道大学においては運動負荷所見および冠危険因子と将来の心事故予測について研究してきました。狭心症および急性心筋梗塞にならないための一次および二次予防についての知識経験が豊富です。また、当科においては心臓エコー、トレッドミル運動負荷試験、ホルター心電図および核医学検査が行えます。これらを駆使して心疾患の早期発見が可能です。

診療内容

現在、外来診療のみ行っております。診療する循環器疾患としては、高血圧症、脂質異常症、不整脈疾患(心房細動、心室性期外収縮など)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、および慢性心不全患者の管理・治療を行っております。また慢性腎臓病患者さんの管理治療も行っております。

なお、入院を要する急性疾患(急性心不全、急性心筋梗塞)、冠動脈形成術やペースメーカー植え込み術などの手術症例については北海道中央労災病院(岩見沢)を初めとする近隣の循環器科と緊密に連係して入院を紹介させて頂きます。

心疾患の早期発見に向けて

心臓病の末期である心不全は、心臓の収縮力低下のみで起こるだけではなく、拡張機能(心臓に血液を引き込む力)の低下によっても引き起こされます。この拡張機能低下による心不全は高齢者や高血圧患者さんに比較的多く発症していることが知られるようになってきました。この病態を早期に診断し治療するためには、心臓エコー検査および血中BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値の測定が有用と考えられています。

心房細動は高齢者(70歳代で約4〜7%)や高血圧を合併する人に多く出現し年々増加している不整脈疾患です。日本全体で約80万人いると言われています。心房細動は心房が高頻度に細かく収縮し、心不全や脳梗塞(心房に生じた血栓からの塞栓による)の原因となるので早期発見治療が重要です。動悸を訴える人はホルター心電図を行うことで発見できる場合があります。治療は抗不整脈薬による心房細動の予防とワーファリンなどの抗凝固薬による塞栓症の予防が中心となります。

狭心症および心筋梗塞などの虚血性心疾患に対しては、早期診断が重要です。当科においてはトレッドミル運動負荷試験、ホルター心電図および核医学検査が行えます。これらを駆使して虚血性心疾患の早期発見が可能です。

心臓エコー検査は、非侵襲的な検査であり一人でも多くの心臓病患者さんに受けて頂けるように医師一名と検査技師三名の計四名で検査を行っています。心不全や非心臓手術を予定している患者さんに対して心機能評価として積極的に行っております。

BNPは心臓から分泌される利尿ホルモンで、心臓の元気度がわかる血液検査です。心肥大や心臓に負担がかかるとその数値は高くなります。当院においては敏速な検査が可能で、その結果を当日中に患者さんお知らせすることができます。これにより心不全の早期診断と治療が可能です。

ホルター心電図検査は、外来で行えるもので、一日中の心電図を記録し、後日解析するものです。不整脈の有無やその重症度、心筋虚血所見を調べて不整脈疾患や狭心症の発見に優れています。

核医学検査は人体に影響の少ない微量の放射同位元素を用いて心筋の酸素不足に陥った虚血部位を目に見えるように画像化するものです。やや高価な検査ですが、心電図のみによる検査よりも診断精度が向上し有用です。タリウム心筋シンチは、運動負荷を組み合わせることで心筋の血流低下した部位を90%程度の精度で診断します。BMIPP心筋シンチは心筋の脂肪酸代謝を表し、運動負荷を行わず安静時の撮影で心筋虚血が分かる検査です。これらを組み合わせることで虚血性心疾患をより高い精度で早期診断が可能です。

慢性腎臓病と循環器疾患との関係

動脈硬化関連危険因子として高血圧症、糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群などの疾患が多くみられるようになってきました。これらが長年持続することで、慢性腎臓病の病態を呈する患者さんが増加し、最近注目されています。

慢性腎臓病(CKD)とは、種々の原因で引き起こされる腎臓の機能低下した病態を表します。腎炎もCKDを起こしますが、その多くは高血圧症、糖尿病、脂質異常症などから腎機能がゆっくりと低下して発症します。CKDが存在すると、将来的に透析治療が必要となる可能性が懸念されます。一方、CKDがあることで心疾患や脳疾患の発生が増加することが重大です。男女別に年齢と血清クレアチニン値で算出された推算糸球体濾過量(eGFR)で診断され、重症度も評価します。中等から高度CKD(eGFR60未満)の人口は1926万人(成人人口18.7%)いるといわれています。また、蛋白尿の有無やその程度でも将来出現する心臓・脳疾患の発生率も異なってきます。CKDの治療は、アンジオテンシン受容体拮抗薬などによる厳格な降圧とスタチン系脂質低下薬で適切にLDL-コレステロール値を管理することが重要です。

腎臓エコー検査は外来で行えるもので、腎臓の大きさ形態と腎動脈の血流速度などを測定します。慢性腎臓病の原因である腎硬化症や難治性高血圧の原因である腎動脈狭窄症の診断に優れます。

腎臓核医学検査は人体に影響の少ない微量の放射同位元素を用いて腎臓の機能や腎動脈の血流の詳細な評価が可能です。腎臓エコー検査で異常を認めた場合に施行することがあります。さらに腎臓CT検査を組み合わせることで慢性腎臓病を多角的に評価することができます。

実績

過去15年間の入院2500例の臨床経験があります。その50%は虚血性心疾患の精査および治療でした。約15%は心不全の治療などを行ってきました。現在のところ医師1名のため入院診療は休止しています。

平成21年度の循環器内科外来に受診された延べ患者数は、11945人(1日49人)でした。心房細動を有する患者さんは約18%でした。その多くはワーファリンによる抗凝固療法を行っております。当院ではその治療効果を判定するために、血液の固まりやすさを表す検査(プロトロンビン時間・国際標準比)を迅速に行い、待ち時間の短縮にも努めております。

平成22年度の循環器内科外来に受診された延べ患者数は、11419人(1日平均47人)でした。現在、約2000例の患者さんが当科外来に通院されています。慢性腎臓病(eGFR60未満)を有する患者さんは458例(約23%)でした。その多くは高血圧症、脂質異常症も合併していました。当科では慢性腎臓病の把握のために定期的に血液検査ならびに尿検査を実施しています。この病気は早く認識して早期に対処することが最も重要です。適切に血圧を下げて脂質異常を管理し腎臓機能をできる限り保持させることで、その先にある心臓病、脳卒中の予防につながってゆきます。

医師

副院長/循環器科部長

佐藤功

循環器一般 ・循環器疾患予防
弘前大学(昭和53年卒業)

・日本内科学会総合内科専門医 ・日本循環器学会認定循環器専門医

・日本医師会認定産業医 ・医学博士

・日本内科学会 ・日本循環器学会 ・日本人間ドック学会