腰痛が心配な方へ… 今日から始める『腰磨き』

''腰磨きとは?

毎日の歯磨きと同じように、腰の手入れ(姿勢と運動)を生活の中に習慣づければ、腰痛を予防できます。これが腰磨きです。
腰痛が心配な方、さっそく今日から腰磨きを始めましょう。

腰磨きその1.姿勢
  背骨を横から見ると、S字カーブを描いています。その下の方で、前にカーブしている部分が腰の骨です。
このカーブを大きく前に反らせるような姿勢など、悪い姿勢を長時間続けると腰痛の原因になります。ですから、日頃より姿勢に気を付け、腰の骨のカーブを正しく保つことが大切です。
背骨の良い例、悪い例

''腰の骨のカーブを正しく保つ姿勢

立っているとき


①背すじを伸ばす
②お腹に力を入れる
③ひざを軽く曲げる
④お尻をすぼめる
立っている時の正しい姿勢イラスト

椅子に座るとき


①深く腰掛け、背中を密着させる
②上半身を十分机に近づける
③足を組むのもよい
④股関節とひざが無理なく曲がる高さ
⑤背もたれの角度は100~110度
⑥机の下に入る高さの肘掛

椅子に座っているときの正しい姿勢イラスト

寝るとき

寝ているときの良い姿勢、悪い姿勢のイラスト
 硬めのベッドやマットレスを選び、仰向けでひざの下に座布団を入れるか、横向きで、ひざを軽く曲げるのが良い姿勢。

物を持ち上げるとき


ひざを十分曲げ、荷物は体に近づける。
物を持ち上げるときの正しい姿勢イラスト

靴の選び方


ヒールの高さが3cm以内で、安定性の良い物を選ぶ。
靴の良い例、悪い例のイラスト

長時間立ち続けるとき


高さ10cm位の台に片足を乗せる。
(時々左右の足を置きかえる)
長時間立ち続けるときの正しい姿勢イラスト

物を高いところに乗せるとき


背伸びをせず、踏み台を利用。
物を高いところに乗せるときの正しい姿勢イラスト

その他、腰の骨のカーブを大きくするような姿勢(横になり肩肘を付いてテレビを見る、腹這いで本を読む、あぐらなど)を避けるようにしましょう。


腰磨きその2.運動

   ヨットのマストは、帆がたるんでいると、不安定で倒れ易くなります。同じように、背骨を支える筋肉(腹筋や背筋など)が弱くなると、腰にかかる負担が大きくなり、腰痛を起こしやすくなります。ですから、日頃より運動を続け、背骨の周りの筋肉を、バランス良く強くする必要があります。
以下に、代表的な腰痛体操を紹介します。それぞれの体操を、毎日数回ずつ行います。ただし、痛みの強いときは休みます。体操については、定期的に専門家の指導を受けましょう。
背骨・腹筋・背筋の関係図

''ストレッチング
硬く細くなった筋肉や靭帯を伸ばし、柔軟性を高める。

腰、背中、お腹のストレッチング

腰、背中、お腹のストレッチング写真
  仰向けに寝て片ひざを抱え、胸の方へ引きつける。(左右)

太ももの裏側のストレッチング

太ももの裏側のストレッチング写真
  片方の脚をまっすぐ上げ、ひざの曲げ伸ばしをする。(左右)

''筋肉強化の体操
腰の周りの筋肉を強くして、背骨をしっかりサポートする。

腹筋強化

腹筋強化体操写真
  仰向けに寝て、あごを引いたまま上半身をゆっくり起こし、45度の位置で5秒止める。腹筋が弱い人は、起きあがろうと努力するだけでよい。

背筋強化

背筋強化体操写真
  うつぶせに寝て、おへそより下に枕を挟む。あごを引いて上半身をゆっくり起こし、10cm上げたところで5秒止める。腰を大きく反らせすぎないように注意。

体操の他にも、散歩や水泳などが勧められます。決して無理せず、手軽にできる運動を生活の一部に取り入れていくことが、運動を長続きさせるコツです。



''腰磨き10箇条

一、 背筋を伸ばす
二、 お腹に力を入れる(立ち姿勢)
三、 お尻をすぼめる(立ち姿勢)
四、 ひざを軽く曲げる(立ち姿勢)
五、 椅子には深く腰かけ、机に近づく
六、 ひざを曲げて寝る
七、 うつぶせで寝ない
八、 ひざを曲げて荷物を持ち上げる
九、 急に体をひねらない
十、 毎日かかさず運動を

腰痛の原因はいろいろあり、すぐに手術を受けなければならない場合もあります。腰痛、とくに長く続く腰痛がある方は、まず専門医師の診察を受けるようにしましょう。